アルミナ製品
特性表


アルミナ製品の概要
アルミナは、地球上に豊富に存在する原料(ボーキサイト)から得られ、セラミックスの中で最も早くから研究・実用化された材料です。その純度(アルミナ含有率)によって性質や用途が大きく変わることが特徴です。
主な性質と特徴
1. 機械的性質
高い硬度: モース硬度は約9で、炭化ケイ素(SiC)に次ぐ高い硬度を持ち、耐磨耗性に優れます。
高い圧縮強度: 圧縮力に対して非常に強く、機械的部品として使用できます。
脆さ: セラミックスに共通する性質として、衝撃や引張り応力に対しては脆く(脆性)、破損しやすい面があります。
2. 熱的性質
優れた耐熱性: 高温でも形状や強度が維持され、長時間使用でも劣化しにくいです。使用温度は約1,500~1,800℃(純度による)。
低い熱伝導率: 炭化ケイ素とは対照的に、熱を伝えにくい性質(断熱性)を持ちます。
比較的低い熱膨張率: 温度変化による寸法変化は小さめですが、炭化ケイ素ほどではありません。
3. 化学的性質
卓越した耐食性: 酸や塩基に対して非常に強い耐性を示します(特に酸に対して)。高温の腐食環境でも安定しています。
高い化学的安定性: ほとんどの化学薬品と反応せず、不活性です。
4. 電気的性質
優れた絶縁性: 常温から高温にわたり非常に高い電気絶縁性(高抵抗)を示します。このため、電子部品の絶縁体として広く利用されています。
5. その他の性質
親水性: 表面が水をはじきにくい(濡れやすい)性質があります。
純度による分類と特性の変化
アルミナ製品はその純度(Al₂O₃含有率)によって大きく性質が異なります。
純度 | 呼称 | 特徴・用途例 |
---|---|---|
~95% | 通常焼結アルミナ | 機械的強度、耐熱性、耐食性をバランスよく必要とする一般部品。シール部品、耐食ライナー、研磨ボールなど。 |
~99% | 高純度アルミナ | より優れた耐食性、高温特性、絶縁性が要求される部品。半導体製造装置部品、高温炉心管、医療部品など。 |
~99.8% | 超高純度アルミナ | 最高レベルの耐食性と絶縁性が要求される先端分野。 |
主な製品形態と用途
アルミナのバランスの良い特性を活かし、非常に多岐にわたる分野で利用されています。
1. 機械・産業部品
耐磨耗部品: シール材、ベアリング、ワイヤーガイド、紡績部品など。
耐食部品: ポンプの羽根車やライナー、バルブ部品など。
2. 電子・電気部品
基板・絶縁体: 集積回路(IC)パッケージ、ヒューズボディ、スパークプラグの絶縁体など。
放電管部品: 各種ランプ(高圧ナトリウムランプなど)の発光管。
3. 化学・実験装置
坩堝・るつぼ: 高融点金属の溶解や化学分析に使用。
ボールミル: 粉砕用のライナーや研磨媒体(ボール)として。
4. 医療・バイオ
人工骨・人工歯根: 生体親和性が高く、体内埋め込み材料として利用されます。
医療器具部品: 耐腐食性が要求される手術器具など。